首都高6号線

正しくは首都高速6号向島線と言うらしい。隅田川の東をなぞる、都会のリバーサイドラインだ。

春先には川沿いの桜を遠目に拝むことができ、童謡が脳裏をよぎる。夜は高層ビルの無数の航空障害灯が赤い点滅を繰り返し、美しく見える時もあれば恐ろしく感じる時もある。スカイツリーは見るたびに違う色の明かりを灯しており、登ったことはないが悪くないランドマークに思える。

上り線であれば、駒形というパーキングエリアに立ち寄ることもできる。自販機とトイレしかない簡素な作りで、猫の額ほどのスペースしかない。この休憩エリアは道路と薄い壁を一枚隔てただけの場所にある。道を行く車、特にトラックの音と振動を間近に感じられてしまうような位置どりだ。狭い上に危険であり、もちろん快適でもない。だからこそと言うべきか、体育館の裏のような、理科準備室のような、薄暗い穏やかさがあり、日頃の雑事から遠ざかった心地になる。

進路を北に、あるいは西に向ければ本当に喧騒を離れられるのに、時間がないからなんて言い訳をしながら足を運んでしまう。きっとこれからも、恐らく何度も。